HRインフォメーション(2014年4月)

「ブラック企業」は社員を採用できない!?

世間を賑わすキーワードに

昨年末、「新語・流行語大賞トップテン」(ユーキャン)に『ブラック企業』が選ばれましたが、それに続き、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係等をめぐる優れた論考を顕彰する「大佛次郎論壇賞」(朝日新聞社)に、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著/文春新書)が選ばれました。

 

学生から見た「ブラック企業」

株式会社日経HRと株式会社ディスコが今年1月に共同で実施した「2015年度 日経就職ナビ 学生モニター調査」(調査対象:来年3月卒業予定の大学3年生)では、「ブラック企業だと思う条件」を尋ねたところ、次のような結果となりました。

(1)残業代が支払われない(75.0%)

(2)労働条件が過酷である(65.0%)

(3)離職率が高い(58.0%)

(4)成果を出さないと精神的に追い込まれる(55.7%)

(5)募集条件と実働が著しく異なる(53.9%)

(6)セクハラ、パワハラがある(50.6%)

(7)給与金額が低すぎる(48.3%)

なお、この調査で「ブラック企業の就職試験は受けない」と回答した学生は62.5%に上りました。

 

学生が気になる「離職率」「平均勤続年数」

また、別の調査(2015年卒マイナビ学生就職モニター調査)では、学生が就職活動を進めるにあたって企業に公開してほしいデータして、「離職率」(59.4%)、「平均勤続年数」(51.6%)が上位にランクインしており、「ブラック企業」を念頭に置いていることがうかがえます。

 

労働条件などの見直しが必要

仕事は楽なことばかりではありませんし、実績のない新入社員を初めから好待遇で迎える企業ばかりではありませんが、労働条件が著しく劣悪な企業や、社員を使い捨てるような発想のある企業には、今後、人が集まらなくなる傾向が強まるでしょう。

厚生労働省も、若者を積極的に雇用・育成する企業については「非ブラック企業」のお墨付きを与えたり(若者応援企業宣言事業)、ハローワークを通じて大学生を採用する企業に対し離職率の公表を求めたりといった対策を講じています。

社員を採用するにあたり、今一度、自社の労働条件や労務管理体制について見つめ直してみてはいかがでしょうか。

社員の働きにも影響する「テクノ依存症」とは?

今や社会問題に!

一般的に「依存症」というと、「アルコール依存症」や「ギャンブル依存症」、「買い物依存症」などが思い浮かびますが、近年、「テクノ依存症」というものが社会問題となりつつあるようです。

うつ病などのメンタルヘルスとの関連性や仕事への悪影響なども指摘されるなど、企業にとっても無視できない問題のようです。

 

「テクノ依存症」の特徴と症状

「テクノ依存症」は、コンピュータに過剰に適応したことによって発生する、精神的な失調症状を言うそうです。

インターネットやオンラインゲーム、スマートフォン等に没頭してしまうことが原因で発生する症状であり、「手元にコンピュータがないと不安に感じてしまう」「コンピュータに集中したいために人との会話が煩わしいと感じてしまう」など、いわば“現代病”とも言えそうです。

この症状が発生するのは、女性よりも男性のほうが多く、インターネットやオンラインゲームにのめり込みやすい若者に多いようです。

 

「テクノ依存症」による悪影響

この症状にかかると、「夜遅くまで起きているので朝なかなか起きられない」「友好な対人関係が築けない」など、実生活に大きな影響を及ぼすことになり、働くことに支障をきたしてしまうケースもあるようです。

 

企業による対策は?

企業にとっては、社員の私生活まで把握・管理することはできませんが、「日中眠そうにしている」「社内で人と接するのを避けがちである」「時間の感覚が希薄になっている」といった社員については、この「テクノ依存症」を疑ってみる必要があるかもしれません。

正しい治療方法もあるようですので、「テクノ依存症」だと判明した社員には、病院での治療を勧めることなども考えられます。

「障害者の就労支援」に関する取組み

厚労省から報告書公表

3月初旬に、厚生労働省「地域の就労支援の在り方に関する研究会」から、障害者の就労支援に関する報告書が公表されました。

同省では、この報告書の方向性を踏まえて、今後の重要な施策の1つである「障害者の就労支援」に向けた取組みを推進していくとしています。

 

雇用が増加している精神障害者への対応

報告書では、「精神障害者の雇用が伸びており、また、障害者の職場定着にあたって、障害者の変化に対する早期かつ確実な対応が重要であるため、地域の就労支援機関における精神障害者への支援能力の向上と定着支援の充実の必要性が高まっており、これらへの対応が必要となっている」としており、次の2点をポイントとして挙げています。

(1)「ジョブコーチ」の対応能力の向上

(2)「障害者就業・生活支援センター」の強化

 

企業のニーズへの対応

上記報告書の中で、項目の1つとして「企業のニーズへの対応」が挙げられており、次の2点が示されています。

・支援要請に迅速かつ的確に対応するためには、経験豊富な「ジョブコーチ」(直接職場に出向いて、仕事の進め方や

 コミュニケーションなどの職場で生じる様々な課題の改善を図るための支援を行う者)のような十分な知識と経験を

 持つ者がこれに当たることが適当である。

・ハローワークや就労移行支援事業所などの送り出し機関が迅速に支援するとともに、企業がどこに相談すべきかわか

 らない場合の第一次的な相談窓口を「障害者就業・生活支援センター」が担うことを明確にすることが必要である。

 

一体となった取組みが必要

今後、労働人口が減少していく中、障害者雇用はますます増えていくものと予想されますが、国・自治体と企業が一体となった取組みが必要だと言えます。

 

「新卒3年以内離職率」と「求人倍率」の気になる関係

企業は「早期離職率」をどう見ればよいか

「ブラック企業=若者を使い捨てにする企業」との特徴から、新卒者が入社後3年以内に離職する「早期離職率」に関心が集まっています。

企業においても、「ブラック企業」とのレッテルを貼られるのは避けたいところですから、どの程度の離職率で「高い」とされるのかが気になります。

東洋経済新報社が運営するインターネットサイト「就職四季報プラスワン」では、「入社3年で3割が目安」とされています。

 

新卒者の早期離職率の推移

厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によれば、1987年から2008年までにおいて、大学新卒者の早期離職率が最も低かったのは1992年の23.7%、最も高かったのは2004年の36.6%で、平均で約31%です。

この結果を踏まえると、上記の「3割」という割合は妥当とも思われますが、業界そのものが成長途中にあり、人材も流動的であるような企業の場合には、クリアすることが難しいところもあるかもしれません。

 

求人倍率から新卒者の早期離職率を予測する

年によって早期離職率が異なることから、次に気になるのは近年の新卒者の傾向ですが、これについては「労働市場の世代効果に関する研究」の結果が参考になります。

これは、性別、学歴、卒業年等によって区分されたグループが、賃金や採用、離職等にどのような影響を受けるかを研究したものですが、それによると、求人倍率が低い時期に就職した世代ではミスマッチが発生しやすく、離職率が高くなるそうです。

実際に、リーマンショック後の2010年の新卒就職者の3年以内離職率は31.0%と、6年ぶりに前年度を2.2ポイント上回る結果となっていることから、企業にとっては、社員の定着率向上に向けた一層の取組みが重要となるかもしれません。

 

「育たない若手」問題をどのように解決するか?

「若手社員の育成」に悩む企業は多い

団塊の世代の大量離職等により、「若手社員の早期育成」を課題に掲げる企業が多くありますが、思うように育たずに悩んでいる企業も多くあります。

では、若手社員の育成はどのように行えばよいのでしょうか。

 

「段階的な育成」を心掛ける

新入社員の段階では、仕事の知識や業務の手順を教えるだけでなく、組織人としてのマナーを身に付けさせたり、組織や職場に慣れさせたりすることで、まず、社会人としての基礎を固めることが必要とされます。

次に、入社2~3年の社員では、与えられた仕事を着実に遂行できるだけでなく、自ら気づき、自分なりの工夫をすることができるよう、経験の場を与え、結果を振り返ることでさらなる成長を促す機会を設けることが必要となります。

入社4年以降の社員については、将来マネージャーとして職場を管理する役割を担う人材に育てることも視野に、仕事をある程度任せながら必要に応じて指示を与えたりフォローしたりして、活躍の場を徐々に広げていくことが必要となります。

 

欠かせないフィードバック

このように、一口に「若手社員」と言っても、新入社員と数年の経験を積んだ社員とでは求められる役割が異なることから、どのようなアプローチによって育成を図るかという手段は異なります。

しかしながら、いずれの段階においても、経験から得た知識を生かしてステップアップしていく流れは変わりませんので、その都度経験を振り返ることが重要となります。

その際、より効果的なのは、若手社員1人に振り返らせたり考えさせたりする方法よりも、先輩社員や上司が成功(または失敗)の理由を問いかけ、若手社員に考えさせることでフィードバックする方法です。

先輩社員や上司にとっても、自分の仕事のやり方を見直す良いきっかけともなりますので、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

 

要チェック! 平成26年度の厚生労働省方針

労務管理見直しの契機に

厚生労働省の来年度方針が続々と明らかになっています。

 

自社の労務管理の方向性を見直すうえで参考にしてみはいかがでしょうか。

 

高齢者の雇用等

65歳までの雇用が原則義務化され、高齢者の賃金設計とそれに伴う全体的な賃金制度の見直しを実施・検討する企業が増えています。

また、中高年層社員に関する課題として、「介護休職・離職」があります。親の介護による休職・離職が最も多い年代層は50代ですが、40代から65歳までのすべての年代でも直面する可能性の高い課題です。

厚生労働省は、65歳までの雇用義務化等を背景に、基礎年金の保険料納付期間を延長する考えを示しています。来年の通常国会での法改正を検討しているようです。

 

多様な正社員

「限定正社員」という呼ばれ方もしますが、職種、勤務地、労働時間等が限定的な「多様な形態による正社員」が注目されています。

多様な形態の正社員の賃金・昇進等については、すでに実践している企業の例と今後の制度整備の動向等を見ながら、就業規則等の整備を検討していく必要があるでしょう。

 

助成金の拡充・新設

次の助成金について、力を入れていくようです。

キャリアアップ助成金/労働移動支援助成金/トライアル雇用奨励金/育児休業からの職場復帰を支援:キャリア形成促進助成金における育休取得能力アップコース(仮称)

 

行政指導の方向性

労働基準監督官の増員が計画されており、また、従来通り、サービス残業是正を始めとする割増賃金の適正な支払いや違法な時間外労働の是正等を実施していくとしています。

部下の長時間労働や年次有給休暇取得の状況を上司の人事評価に反映させるといった会社での取組みも必要でしょう。

 

「働き方・休み方改善指標」や「働き方・休み方改善ハンドブック」などが作成されますので、これらも参考になるかもしれません。

 

障害者雇用の進展

平成25年度は、身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも雇用者が増加しています。特に精神障害者が大きく増加し、大手企業では4年後の障害者雇用率に関する改正等をにらみ、発達障害を持つ方を採用したいというニーズが高まっています。

 

派遣社員の「正社員雇用」打診経験は約2割

派遣社員の属性は?

一般社団法人日本人材派遣協会から、派遣社員の就業条件や実際の働き方など、派遣社員の実態や本音を明らかにする「派遣社員WEBアンケート調査」(調査対象3,256人。うち“現在、派遣で働いている”と答えた人は2,843人)の結果が公表されました。

現在、派遣社員として働く人は女性が9割を占め、30~40代が中心層であり、6割が未婚、2割が子育て中という属性となっています。こうした人たちが、「正社員雇用」についてどういう意向を持つのかが本調査から垣間見えます。

今後の働き方の希望

今後希望する働き方については、当面希望する働き方では「今の派遣先の派遣社員として働く」(60.9%)、数年後に希望する働き方では「今の派遣先以外の正社員として働く」(25.4%)、「今の派遣先の正社員として働く」(18.4%)の順で、正社員希望者(計48.7%)が派遣社員希望者(計15.2%)を上回っています。

 

派遣先からの直接雇用の打診

派遣先から「ウチで働かないか」と誘われたら?という項目については、現在派遣で働いている人でも、約20%は「正社員雇用」の打診の経験があったそうです。

派遣先企業から、正社員または契約・パート・アルバイトのいずれかで「直接雇用を打診されたことがある」人は計37.2%、正社員としての直接雇用を打診された人も18.9%を占めています。

 

正社員として直接雇用を打診されたときの対応

現在の派遣先企業から正社員として直接雇用を打診された場合、「条件次第では応じる」が53.0%、「断る」は19.4%となっています。

正社員として直接雇用に応じるための条件については、「賃金など労働条件が良くなれば応じる」(59.2%)、「賃金など労働条件が悪くならなければ応じる」(46.6%)などの待遇面を挙げる回答が多くなっています。

派遣で働き、家計の主な担い手となっている人は45.1%。そのうち7割以上が未婚の女性だそうです。

 

一方、家計の主な担い手でない人の半数以上が既婚女性となっています。前者である場合、正社員雇用の打診をされた場合の労働条件についてはシビアに判断されるでしょう。

 

 

御社の人事制度、問題なく運用できていますか?

人事制度、大丈夫ですか?

御社の人事制度は、設計されてから現在まで、どのくらいの期間運用されていますか?

また、運用について現在、問題はありませんか?

人事制度は、無用の混乱を防ぐという観点からも頻繁に変える類のものではありませんが、企業を取り巻く環境が大きく変化している現在、その環境に合わせて制度を変えていくことも必要です。

 

大半の企業が人事制度に課題を感じている

株式会社トランストラクチャの「人事制度に関する調査」(対象:上場および未上場企業の人事担当者)によると、現行の人事制度が事業環境・経営方針と適合した内容になっている企業は4割程度にとどまり、多くの企業で人事制度についての課題を抱えていることが明らかになりました。

また、「人事制度を問題なく運用できている」企業は、わずか2割でした。

 

必要があれば再設計も

人事制度は、本来、企業の根幹と言えるものです。現行の人事制度について、「事業環境・経営方針との不適合がある」、「運用方法に問題がある」、「様々な課題がある」と感じているのであれば、適した形に再設計することも必要です。

これはもちろん容易なことではありませんが、社会保険労務士等、経験豊富な外部人材も活用しながら、一度、点検を行ってみてはいかがでしょうか。

 

 

会議・ミーティングを変える!

 「ファシリテーション・スキル」

会議のよくある問題点

ビジネスの現場では欠かせないものであるにもかかわらず、期待した成果が得られていないことも多い会議やミーティング。

忙しいなか時間を割いているにもかかわらず、「建設的な議論はできないまま時間だけが経ってしまった…」という経験をしたことがある方も多いことでしょう。

このようなことを問題視している企業も多いのではないでしょうか。

 

ファシリテーション・スキルが鍵

そこで注目されているのが、「ファシリテーション・スキル」――人々の活動が容易にできるよう支援し、うまく事が運ぶよう舵取りする力です。

特に、会議の進行役自らがこのスキルを身につけることにより、会議の質を上げることができます。

 

ファシリテーションの4つのスキル

会議の場では、次の4つのスキルが求められます。

(1)何を目的にして、誰を集めて、どういうやり方で議論していくのか、『場』をつくる

(2)多くの意見を引き出すことで、参加者相互の理解を深める

(3)議論の全体像を整理して、論点を絞り込む

(4)意見をまとめ、全体の合意を形成する

 

効果的な会議に向けて

まずはこれら4つのことができているかをチェックすることが、効果的な会議を行うための第一歩となります。

 

 

「多店舗チェーン」で働く店長やスタッフの実態は?

「スキルレベルのばらつき」が課題

株式会社ライトワークスが、多店舗展開企業で働く人事責任者、店長、店舗スタッフ(パート・アルバイト等の非正規社員)を対象に行った調査では、多くの企業で、店長や店舗スタッフの「スキルレベルやそのばらつき」が課題として挙げられました。

この傾向は、同社が2011年に調査を開始して以来、過去3年間同じだったようです。

 

人事責任者の7割強がスキルレベルの課題を認識

「店長や店舗スタッフのスキルレベルについて課題を感じるか」という問いに対し、人事責任者の7割強が「課題と認識している」と回答し、スキルレベルの低下やばらつきが広がっている要因として、約6割が「社会人としての基礎力が低いスタッフが多く入社するようになった」と回答しました。

また、店長や店舗スタッフの不足スキルについて、人事責任者と店長の間、店長と店舗スタッフの間にはそれぞれ認識に違いがあり、特に前者は「労務管理」について、後者は「接遇・マナー」について認識に大きな違いが見られました。

 

トレーニング・評価についての認識に違い

調査結果から、店舗スタッフに対するトレーニングの実施は、スキルレベル向上や仕事の満足度向上と大きな関係があることもわかりましたが、「店長から指導を受ける機会が頻繁にある」と回答した店舗スタッフは僅かでした。

店舗スタッフの評価については、ほとんどの店長が何らかの形で実施しているとしているものの、「定期的なフィードバックを受けている」と回答した店舗スタッフは1割強で、この認識の違いが店舗スタッフに大きな不満を与えている可能性があるとしています。

 

スキルのばらつきが減らすにはOJT等を活用

店長、店舗スタッフのスキルのばらつきが減った要因として、人事責任者の約6割が「現場でのOJTを積極的に実施した」と回答し、「研修等教育機会を拡充した」が4割強で続いています。

また、「採用の基準を上げた」ことを要因とする人事担当者は3年間で減少し続け、今回の調査では0%でした。

 

この1年で「採用が困難になってきた」とする回答が、「容易になってきた」を上回り、人事担当者は、時給を上げたり採用基準を緩めたりして、採用数の確保に必死のようです。

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