HRインフォメーション(2014年8月)

「多様な正社員・限定正社員」を活用すべきケースとは?

厚労省分科会の配布資料

日本版ホワイトカラーエグゼンプションなど、今後の労働時間規制の緩和に関する議論が厚生労働省労働政策審議会(労働条件分科会)で始まりました。

7月7日開催の分科会で配付された「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会における議論の状況」という資料の中で、「多様な正社員」の活用が考えられるケース等が挙げられていましたので簡単にご紹介します。

 

活用が考えられるケース

「多様な正社員」とは、「限定正社員」とも呼ばれ、主に「勤務地」「職務」「勤務時間」などが限定された社員のことを指します。

活用が考えられるケースとして、勤務地限定正社員については、「育児、介護等の事情により転勤が困難な者や地元に定着した就業を希望するケース」「改正労働契約法のいわゆる無期転換ルールによる転換後の受け皿として活用するケース」等が挙げられています。

職務限定正社員については、「金融・IT などで専門性が高く特定の職能内でのプロフェッショナルとしてのキャリア形成が必要なケース」、また、勤務時間限定正社員については、「育児、介護等の事情により長時間労働が困難な者が就職・就業を継続し、能力の発揮が可能なケース」等が挙げられています。

 

導入にあたっての課題

すでに突入しつつある慢性的な人手不足の時代において、「多様な正社員・限定正社員」の活用が非常に大きな役割を果たすと言われています。

ただし、多様な正社員制度の導入にあたっては、制度が労働者の納得を得られるように努めるとともに、制度を円滑に運用できるようにするために労働者に対する十分な情報提供と十分な協議が必要だと指摘されています。

管理職のマネジメントも重要

なお、多様な働き方を円滑に進めるためには、職場における管理職のマネジメント能力の向上が不可欠であることも指摘されています。

近年、管理職の“プレイングマネージャー化”が進展していますが、十分なマネジメントが実現するような能力向上が図られるよう、各職場の実情に即した対応が求められています。

 

 

企業にとっての適正な人員構成

理想通りにはいかない!?

企業においては、適正な数の従業員を抱え、管理職・非管理職がそれぞれ適正な割合を占めていることが理想だと言えるでしょう。

しかし、理想通りにはいっていないことが、株式会社トランストラクチャが実施した「適正人員数・人員構成に関する調査」(上場・非上場の163社が回答)の結果からわかりました。

管理職・非管理職のバランス

まず、「管理職と非管理職の人員比率は適正か」との質問に対し、「適正である」と回答した企業は42%、「管理職の人員比率が多すぎる」と回答した企業は41%でした。

管理職・非管理職のバランス、特に賃金の高い管理職の割合の多さに悩みを抱える企業は多いようです。

人員構成の適正化

次に、組織のパフォーマンスを高めるために「人員構成の適正化を進めるべきか」との質問に対しては、「進めるべき」との回答が73%と非常に高く、「そうは思わない」との回答は10%にとどまりました。

人員構成に悩む多くの企業が、何らかの施策を講じることが必要と考えているようです。

組織のパフォーマンスを高める

では、組織のパフォーマンスを高めるためには具体的にどのような施策が必要なのでしょうか?

この点に関しては、「業務内容の見直しや業務プロセスの変更を進めるべき」と回答した企業が80%に上りました。

会社内の業務の棚卸しを実施して全体の業務内容を見直し、適正な人員配置を行い、あわせて業務プロセスも見直すことが、無駄な残業を削減して利益を上げることに繋がるでしょう。

 

 

海外勤務者の安全管理に役立つ「たびレジ」サービス開始

サービス発足のきっかけ

最近は、中国をはじめ東南アジア各国に進出する企業が増え、海外に赴任したり出張したりする従業員も増えていますが、それに伴い自然災害や暴動等、不慮の事故に巻き込まれてしまうケースも増えています。

2014年7月1日より外務省がサービスを開始した「たびレジ」は、「在留届」の提出を義務付けられていない3カ月未満の短期渡航者を対象にしたサービスで、2013年1月にアルジェリアで起こった人質拘束事件をきっかけに設けられました。

 

「在留届」とは?

外国に住所または居所を定めて3カ月以上滞在する場合、その住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(以下、「在外公館」という)に、氏名、本籍、海外での住所、留守宅などの連絡先、旅券番号、同居家族(配偶者、子ども)などを記入した「在留届」の提出を義務付けています(旅券法16条)。

届出は、現地到着後、住所等が決まったら「在留届電子届出システム(ORRnet)」サイトから行うか、もしくは「在留届」用紙の持参、FAX、郵送により行います。

短期渡航者も、「在留届」を提出すれば緊急時に在外公館よりメールによる通報や迅速な援護が受けられますが、「たびレジ」では、出国前に専用サイトで所定の情報を登録しておくことで同様の効果が得られます。

 

利用方法は?

「たびレジ」サイトで旅行日程・滞在先等の情報や連絡を希望するメールアドレス等を登録しておくと、登録したすべてのメールアドレスで滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざという時の緊急連絡などを受け取ることができます。

本人以外に家族や職場のメールアドレスも登録できますので、緊急時に情報を共有することができて便利です(登録した情報は帰国後1カ月で削除される)。

緊急事態発生時には連絡手段の確保が難しいこともありますので、今後、従業員が海外へ出張等する際にこのサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

 

換気装置の設置も「受動喫煙防止対策助成金」の交付対象に

安衛法の改正に伴う交付要領の改正

2014年6月25日に改正労働安全衛生法が公布され、事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者および事業場の実情に応じ適切な措置を講ずる努力義務が課せられるとともに、国も必要な援助に努めることとされました。

これにより、7月1日付けで「『受動喫煙防止対策助成金の支給の実施について』の一部改正について」という文書が出され、一定の要件を満たす換気装置を設置する事業所等も、本助成金の交付対象とされることとなりました。

 

改正により新たに交付対象となったのは?

改正前の本助成金は、2014年5月16日の交付要領改正により、一定の要件を満たす中小事業主を対象として、事業場内において、喫煙室以外をすべて禁煙とし、一定以上の基準を満たす喫煙室を設置する場合に、その設置費用の一部を助成するものとされていました。

しかし本改正により、上記以外の受動喫煙防止措置として、一定の要件を満たす換気装置の設置等の措置を講ずる場合の、工費、設備費、備品費および機械装置費等も交付対象となりました。

 

交付対象となる換気装置の要件は?

飲食店等では、客席を「喫煙スペース」と「禁煙スペース」とに分ける分煙措置による受動喫煙防止措置が取られていることが多くありますが、そうした喫煙スペースにおいて、喫煙区域の粉塵濃度が「1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下」となるよう設計されていること、または客席がある喫煙区域における1時間当たりの必要換気量が「客席数×70.3立方メートル」となるよう設計されている場合に、交付対象となります。

 

 

仕事をしながらできる「健康づくり」

立って使う机

職場における禁煙や受動喫煙の防止対策は少しずつ浸透してきたようですが、職場における健康志向はまだまだ高まりつつあるようです。

事務用品・設備メーカーのイトーキは、仕事をするうちに自然と体を動かせる家具や内装を開発したそうです。

通常より20~30cmほど高い机は、立って作業する機会が増え、短時間で集中して作業をするようになるそうです。

 

また、オフィスレイアウトの見直しで、コピーと机の配置を見直し、必然的に歩くようにするという方法もあるようです。

 

社内で体脂肪のチェック

また、内田洋行は、タニタとの共同開発により、歩数を測ったり体脂肪率をチェックしたりできる健康管理システムを開発したそうです。これは高精度な体組成計を設置したブースを社内に置き、社員の健康データをクラウドで管理するというものです。

社内で体内年齢の若さのランキングを作成したりするなど、ソフト面の取組みも促すそうです。

 

椅子の代わりにバランスボール

以前話題になったものとしては、椅子の代わりにバランスボールを使うという方法がありました。

ただ、腰痛が改善したなどの好影響もあるようですが、逆に「使い過ぎで体が痛くなった」という例もあるようですし、じっくり考えることが必要な仕事には不向きかもしれませんね。

何事もやり過ぎはよくないようです。

 

引越しや模様替えが見直しのチャンス

「社員の健康が大事」だと考える経営者は多いと思いますが、実際に具体策を講じているケースは多くはないのではないでしょうか。

引越しや模様替えなどの機会に見直してみるのもよいかもしれません。

 

 

メンタルヘルス支援会社の産業医紹介サービスが拡大中

ストレスチェックの義務化

先日、労働安全衛生法の改正案が成立し、医師、保健師などによるストレスチェックの実施が事業者に義務付けられることになりました(従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務)。

これにより、企業は社員が精神疾患を発症する前に対策をとることが求められます。

 

産業医の紹介サービス

こうした流れを受け、次のような企業のメンタルヘルス対策を支援するサービスが拡大中のようです。

・企業が求める診断能力を持つ産業医を紹介するサービス

・グローバル化に対応し、英語版のストレスチェックを提供するサービス

・独自のストレスチェックテストで問題があった場合に産業医を派遣するサービス

 

産業医との相性も大事

従来から50名以上の労働者を雇用している事業場は、産業医による毎月の訪問、労働者の健康管理指導の実施が必要ですし、月80時間超の残業をした労働者等がいる事業場(50名未満の事業場も含む)では、労働者の疲労の程度を把握し、本人の申出により医師の面談を実施する義務があります。

 

これらに違反する場合は行政指導の対象となります(罰則もあり)。

多くの企業では、もちろん産業医の選任は行っているのでしょうが、近年のメンタルヘルス不全による職場の問題への対応が重要になってきた流れを受け、自社が求めるものと産業医との相性が合わないケースも増えてきたようです。

 

精神疾患による労災件数

過労や職場でのいじめにより「うつ病」などの精神疾患を発症したとして労災申請をした人数は、2013年度には1,409人となり、過去最多を更新しました。

 

また、実際に労災認定された人は2年連続で400人を超えています。

メンタルヘルス不全や精神疾患の発症を招かないためには、事前の対策が重要です。

 

長時間労働や過重労働は、日ごろの労務管理で対応し、併せてこのようなサービスを利用することも検討すべきでしょう。

 

職業生活を通じて活用できるツールに?

 「キャリア・パスポート」創設の動向

「キャリア・パスポート」創設の検討が始まる

ジョブ・カードの普及が遅れており、せっかく取得しても活用できない状況にあることが指摘されています。

そこで厚生労働省では、ジョブ・カード制度を大幅に改編し、「キャリア・パスポート制度」(仮称)に移行する検討を開始しました。

 

構想の内容

産業競争力会議の「雇用・人材分科会」では、「キャリア・パスポート」(仮称)の構想について、「学生段階から職業生活を通じて活用できるものとすることや、企業及び働き手の双方にしっかり浸透する仕掛けとして、雇用保険二事業の助成金支給の必要条件とすること等、労使の理解を得つつ、抜本的に見直す」とともに、「電子化してネット上での共有を図り、円滑な労働移動につなげる等、外部労働市場の構築に資する方策を検討する」こと等としています。

 

マッチングツールとして普及させるために

このキャリア・パスポートの目的は、その取得により外部労働市場で通用するマッチングのためのツールとして活用できるようにすることです。

そのための見直し検討事項として、様々な場面で活用可能とするための様式のあり方、関係情報の電子化、SNSに掲載して活用する場合の条件整備などが課題となりそうです。

 

今後の動きは?

厚生労働省では、平成27年2月頃を目標に、最終的な構想案を提示する方針です。

助成金支給の必要条件とすることが検討されていることから、創設の影響は決して小さくないものと思われます。

 

今後の動向に注意が必要です。

 

 

実務に効く!「データ分析」のススメ

最近話題の「データ分析」

「データ分析」という言葉、「最近よく耳にするなあ」と思う方も多いのではないでしょうか。

Excelですぐにできる、などと謳った書籍なども数多く出版されており、興味をお持ちの方も多いことでしょう。

 

「問題点の発見」と「解決策の実行」

企業が成長するためには、実態を把握して問題点を発見すること、その解決策を見出して実行することが必要です。

例えば、発注履歴をもとに顧客の動向をつかみ、個別に対応するための策を講じるといったことは、どこの会社でも行われていることでしょうが、これを受発注データの分析により行うことで、より実態に即した対応が可能となります。

これが「データ分析」のメリットであり、業務のあらゆる場面で用いることができます。

 

「データ分析」の活用事例

実際にどうやるのかは次のようなものが挙げられます。

(1)販売管理費データを分析 → 経費実態がつかめる

(2)売掛債権データを分析 → 回収先を把握し効果的な回収促進ができる

(3)棚卸・在庫データを分析 → 在庫削減を行うことができる

(4)勤怠データを分析 → 部門別の実態をつかみ実態に基づいた労務管理を行うことができる

ご興味を持たれた方は、書籍やセミナー等、参考にできるものは種々ありますので、かじってみてはいかがでしょうか。

 

 

好況で変わってきた? 新入社員の働くことに対する意識

「第一志望に入社」昨年から微増

日本生産性本部と日本経済青年協議会が今年度の新入社員を対象に実施した「働くことの意識」の調査結果によると、「第一志望の会社に入れた」と答えた新入社員は、質問を開始した2009年以降で過去最低を更新した昨年の52.0%から、わずかに改善され55.0%でした。

その年の新入社員の就職活動が順調だったかどうかで敏感に変化する項目に、「人並み以上に働きたいか」との質問があり、景況感や就職活動の厳しさによって、「人並み以上」と「人並みで十分」が相反する動きを見せているようです。

バブル経済末期(平成2~3年)には、「人並みで十分」が「人並み以上」を上回っていましたが、その後、景気が低迷すると、平成12年以降は入れ替わりを繰り返しています。

最近では、平成25・26年度と「人並み以上」が減少、「人並みで十分」が増加し、新入社員の意識はバブル経済末期と同様の売り手市場の時のようになってきたようです。

 

「定年まで同じ会社で働きたい」は減少

また、「この会社でずっと働きたいか」という問いには、一昨年は過去最高を記録した「定年まで勤めたい」が28.8%に減少し、代わって「状況次第でかわる」が34.5%となり、2年連続で「定年まで勤めたい」を上回りました。

不況が続いたことでしばらく増加していたものが、景況感の好転とともに減少傾向にあるようです。

 

約7割が「手当が出るなら残業はいとわない」

「残業についてどう思うか」を聞いてみたところ、昨年度に続き「手当がもらえるからやってもよい」が最多となり、昨年度の63.0%から69.4%に急増し、過去最高を更新したそうです。

昨今のいわゆる「ブラック企業」による残業代の不払いなどの報道に敏感になっており、残業はいとわないけれども、それに見合った処遇を求めている傾向にあるようです。

 

「社長になりたい」は1割を下回る 

また、産業能率大学がまとめた「2014年度新入社員の会社生活調査」によると、最終的に目標とする役職・地位について、「社長」と答えた人が9.0%となり、調査を開始した1990年以降で過去最低だった昨年の11.9%を下回り、初めて1割を下回りました。

一方、女性の管理職登用を進める企業が増えている中、将来の進路として「管理職で部門の指揮をとる」と回答した女性の新入社員が28.8%で、過去最高となったようです。

 

 

中小零細企業の経営を支援する「よろず支援拠点」とは?

国が設置する「経営相談所」

「よろず支援拠点」は、国が全国に設置する経営相談所のことで、経済産業省・中小企業庁の「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」により設置されています。

経済産業省は、平成26年度から各都道府県に1カ所ずつ、地域の支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者が抱える様々な経営上の相談に応えるため、このよろず支援拠点を整備することとしています。

先月2日に40拠点が開設しましたが、同月30日には新たに7拠点が開設され、全国47都道府県に「よろず支援拠点」が開設されています。

最寄りのよろず支援拠点へ直接連絡すると、専門のスタッフが相談に応じ、適切な解決方法を提案してもらえるとのことです。

 

開設に至った背景

全国385万の中小企業、中でもその9割を占める小規模事業者については、地域の経済や雇用を支える重要な存在であるにもかかわらず、その相談対応を担う既存の支援機関の、機関ごと・地域ごとに支援のレベルや質、専門分野、活動内容等のばらつきが課題となっていました。

そこで、相談体制の整備が必要ということになり、開設に至ったとのことです。

 

主な役割と具体的な業務は?

「よろず支援拠点」の主な役割と具体的な業務には、以下のものがあります。

 

経営のことで困ったことがあれば、一度相談してみるのもよいかもしれません。

(1)総合的・先進的アドバイス

他の支援機関では十分に解決できない経営相談に応じ、中小企業・小規模事業者の課題を分析。

 

解決策を提示し、フォローアップも実施する。

 

具体的な支援のイメージとしては、売上拡大(新規顧客獲得や海外進出等)、再生・経営改善、現場改善(生産性向上)等。

(2)支援チーム等の編成支援

中小企業・小規模事業者の課題に応じた適切な支援チームの編成を支援。支援チーム編成のため、複数の支援機関、公的機関、起業OB等の「支援専門家」や、大学、大企業等の事業連携の相手先との調整。

 

具体的な支援のイメージとしては、企業が抱える複数の経営課題に対し、適切な支援ができる機関・専門家による支援チーム編成の主導等。

(3)的確な支援機関等の紹介

支援機関等との接点がなく、相談先に悩む中小企業・小規模事業者の相談窓口としての相談対応。

 

相談内容に応じて、適切な支援者につなぐことによる支援機関・専門家の紹介。

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