HRインフォメーション(2014年9月)

深刻な「後継者不在」問題と制度改正の動向

28万社超の企業を分析

4人に1人が高齢者という時代。企業の経営者も約3割が65歳を超えているそうです。

このほど帝国データバンクから、「事業承継」や「社長の高齢化」などの後継者問題に関する調査の結果が発表されました。

この調査は、同社が有する企業概要データベース(145万社収録)および信用調査報告書ファイル(160万社収録)を分析したものですが、このうち、2012年度以降の後継者の実態について分析可能な企業は28万4,412社だったそうです。

 

深刻な後継者不在の状況

調査結果によると、国内企業の65.4%が後継者不在とのことです。社長の年齢が「60歳代」の企業では53.9%が後継者不在であり、「70歳代」では42.6%、「80歳以上」では34.2%が同様の状況でした。

後継者のいる企業における後継者の属性は、「子供」(38.4%)が最多で、「親族」(19.9%)、「配偶者」(10.9%)と合わせると同族が約7割(69.2%)となっています。

 

業種別の状況

業種別に見ると、後継者不在の企業割合が全体の平均(65.4%)以上だったのは次の業種でした。

(1)サービス業(70.4%)

(2)建設業(70.0%)

(3)不動産業(67.8%)

(4)小売業(66.1%)

 

制度改正の動向

なお、経済産業省の調査結果では、親族に後継者がおらず第三者が後を継ぐ中小・零細企業の割合は約4割とのことです。

現在の法制度は親族が引き継ぐことを前提としていることから、同省では法務省とも連携し、事業承継しやすい制度づくりを進める考えを示しています。

後継者不在の問題に悩む企業は、制度改正の動向にも目を向ける必要がありそうです。

 

 

大人気!「キャリアアップ助成金」の概要

大人気の助成金

平成25年度から始まった「キャリアアップ助成金」ですが、受給の要件となる「キャリアアップ計画」の作成・認定企業数が厚生労働省の予想を大幅に超えているそうです。

ここでは、どのような助成金なのかを簡単に見ていきます。

助成金の概要(6つのコース)

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、「正規雇用への転換」、「人材育成」、「処遇改善」等の取組みを実施した事業主に対して支給されるもので、次の6コースがあります。

(1)正規雇用等転換コース

(2)人材育成コース

(3)処遇改善コース

(4)健康管理コース

(5)短時間正社員コース

(6)短時間労働者の週所定労働時間延長コース

なお、コースによっては、平成26年3月1日から平成28年3月31日までの間は、支給額の増額、要件の緩和の措置がとられています。

 

「キャリアアップ計画」とは?

受給にあたりまず必要となるのが「キャリアアップ計画」の作成ですが、この「キャリアアップ計画」とは、有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取組みを計画的に進めるため、おおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取組み)をあらかじめ記載するものです。

 

さまざまな要件、書類が必要

「キャリアアップ計画」の作成・提出後にはコースごとに様々な要件があり、書類の提出も必要となります。厚生労働省ホームページにも詳しい内容が記載されています(「キャリアアップ助成金」で検索)。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

 

8月1日より失業給付の支給額が変わりました

2013年より若干の引下げ

離職者に支給される雇用保険の失業手当の額は、毎年、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって毎年8月1日にその額が変更されますが、2014年度は、2013年度の平均定期給与額が前年比で約0.2%減少したことから、全体に若干の引下げとなりました。

 

変更後の支給額

失業手当の日額は年齢に応じて上限額が定められており、下限額は全年齢共通で定められています。

上限額は、29歳以下の方は6,390円(15円減額)、30~44歳の方は7,100円(15円減額)、45~59歳の方は7,805円(25円減額)、60~64歳の方は6,709円(14円減額)となっています。

下限額は、1,840円(8円減額)です。

なお、実際に支給される日額は、離職時の賃金日額に50~80%の給付率を掛けて算出されます。

失業手当は、失業認定期間(28日)中に自己の労働による収入がある場合、収入を得た日については減額支給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額)と、引き下げられています。

 

就業促進手当の上限額も引下げ

再就職手当・常用就職支度手当の算定における失業手当の日額の上限額は、59歳以下の方は5,825円(15円減額)、60~64歳の方は4,720円(9円減額)となります。

就業手当の1日当たり支給額の上限額は、59歳以下の方は1,747円(5円減額)、60~64歳の方は1,416円(2円減額)となります。

 

高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額も引下げ

高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金の15%相当額、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて各月の賃金の15%相当額未満の額となり、支給限度額を超えて賃金が支給された場合には支給されません。

この支給限度額が、340,761円(781円減額)となっています。

 

 

意外な盲点? 職場で気をつけたい同性間のセクハラ問題

指針改正により同性間の行為もセクハラの対象に

セクハラ行為の禁止は、男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という)の1997年改正で関連規定が設けられました。

 

その後、改正によりセクハラ対策の強化や男女差別の範囲の見直しなどが図られていますが、今年7月1日より施行規則と指針が改正されました。

改正項目は多岐にわたりますが、企業においてトラブルに発展するケースが多いセクハラについて、新たに同性間の行為が対象に含まれることとなりました。

以下、この「同性間のセクハラ行為」について、例を挙げるとともに、企業における対策について考えてみたいと思います。

 

同性間におけるセクハラの具体例

例えば、いわゆる「女子会」に限らず、男性だけの席でも「恋バナ」や結婚生活が話題になったときに、「最近彼氏(彼女)とどう?」とか「お子さんの予定は?」といった質問を耳にしたことはないでしょうか?

こうした質問は、いかにも性的な言動や要求ではないことからセクハラに当たると認識していない方もいらっしゃると思いますが、言われた本人が不快に感じれば「セクハラを受けた」としてトラブルになりかねないリスクを孕んでいます。

さらに、男性にありがちなケースとして、何人かで風俗店へ行こうとなったときに行きたがらない人も強引に誘うことが同性間のセクハラに当たると、指摘されています。

 

企業がとるべき対策は?

均等法で「性別を理由とする差別」や「セクハラ行為」等が禁止されていることは、すでに多くの方が認識されていることでしょう。

しかしながら、改正等により新たに禁止の対象とされたことについては、個々の従業員が自ら把握することは難しく、研修等の場で具体例を示されて初めて理解することのほうが多いのではないでしょうか。

企業においては、一旦トラブルが発生すれば当事者間の問題にとどまらず使用者責任を問われかねないリスクがあることを踏まえ、トラブルの未然防止の観点からも、関連規定の見直しや社内研修、万が一トラブルが発生した場合の相談体制のチェック等を実施しておくべきでしょう。

 

 

人手不足の業界には光明? 外国人労働者活用

外国人労働者活用への期待が高まる

労働力人口の減少を補うため、現在、外国人労働者活用への期待が高まっています。

外国人活用をめぐっては、これまで研究者や経営者など、高度人材を中心に受入れ体制が整えられてきましたが、比較的単純な労働分野でも外国人の就労を進めていく方向で議論が進んでおり、建設、農業・製造業、家事支援、介護など人材不足が進む分野での外国人の活用が期待されています。

また、技能実習制度の拡大も検討されています。

 

受入れの際の留意点

今後、多くの企業で外国人労働者を活用することが考えられますが、外国人の雇用には難しさもあります。

外国人を雇用する目的・必要性を十分に検討し、担当させる業務を決めていく必要がありますが、これらは、経営戦略・事業運営方針にも大きく関わる部分です。

また、外国人特有の制度や諸官庁への手続き等もあり、遺漏のない取扱いのために注意が必要です。

 

トラブル防止に必要な知識

トラブルを防ぐためには、次のような知識も得ておくとよいでしょう。

(1)入管法(出入国管理及び難民認定法)

(2)労働関係法

(3)日常の労務管理

 ・文化、宗教

 ・生活様式、生活慣習

(4)コミュニケーション

 ・語学

 ・ビジネス慣習

 

 

新入社員、いきいきと働いていますか?

 研修の振り返りのススメ

重要な新入社員研修

現在、人員を絞っているという企業も少なくないと思われますが、このような場合には、少ない人数で業績を上げるために、社員の成長が欠かせません。

そのため、多くの企業では、研修を実施して、社員教育を行っています。中でも重要なのが、企業の文化に触れ、大きく成長してもらうための基礎となる「新入社員研修」です。

 

「振り返り」が必要

もし、今年新入社員が入り、研修を行ったのでしたら、その成果が十分に出ているか、研修について振り返ってみましょう。

やりっぱなしにするのではなく、振り返ってみて良かった点、反省点を洗い出すことで、次に活かすことができます。

 

「成果の出る新入社員研修」のポイント

例えば、次の点についてチェックしてみてください。

(1)教育方針・内容が明確になっているか?

「誰が」、「どんな項目」を、「どのように教える」のかが明確になっていれば、ポイントを外すことなく研修を行うことが可能です。

講師側も、何を伝えればいいのかがわかるので、的確な準備ができます。

(2)配属先の上司も研修内容を知っているか?

これは特に新入社員研修ならではのポイントです。現場での仕事に際しても、研修内容と関連付けた対応が可能となります。

(3)研修の成果について確認ができているか?

「研修を受けて終わり」ではなく、その後のフォローがあれば、その内容がより身につきます。

 

 

ご存知ですか? 「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」

人手不足の企業にお勧め!

昨今、人手不足に頭を悩ませているという企業も多いのではないでしょうか。

人を採るために仕方なく時給を上げざるを得ないという場合もあるでしょう。

 

そんなときにお勧めの助成金をご紹介します。

中小企業最低賃金引き上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)

この助成金は、中小企業・小規模事業者を支援する目的で設けられているもので、下記の2条件を満たした場合に助成金が支給されます。

【支給要件】

(1)最低賃金の引上げに先行して事業場内で最も低い賃金で40円以上引き上げる賃金引上計画を策定し、引上げを実施すること(ただし、助成金申請時に800円未満の時間給等の労働者を使用している必要あり)。

(2)労働者の意見を聴取のうえ、賃金制度の整備、就業規則の作成・改正、労働能率の増進に資する設備・器具の導入、研修等の業務改善を実施すること。

【助成額】

業務改善の経費の2分の1(企業規模30人以下の小規模事業者は4分の3)

※下限5万円、上限100万円

 

平成25年度の地域別最低賃金 (参考)

地域別最低賃金で時給800円を超えている都道府県は、東京都(869円)、神奈川県(868円)、大阪府(819円)の3都道府県しかありません。

他の都道府県では、例えば、北海道734円、宮城県696円、埼玉県785円、千葉県777円、新潟県701円、愛知県780円、広島県733円、高知県664円、福岡県712円、沖縄県664円となっています。

 

該当企業は多い?

本助成金の支給要件の1つに「800円未満の時間給等の労働者を使用している」とあります。上記地域別最低賃金からわかるように、支給要件に該当する企業も多いと思われます。ぜひ申請を検討してみてはいかがでしょうか?

 

 

厚生年金未加入企業への指導が強化されます!

「加入逃れ」の防止

政府は、厚生年金保険の加入逃れを防ぐため、国税庁が持つ企業の納付情報から未加入企業を割り出し、指導を強化することを決めました。来春にも着手するとしています。

もし、加入指導されたにもかかわらず、これに応じない場合は、法的措置により強制的に加入となることもあるようです。

 

厚生年金の未加入問題とは?

厚生年金は、正社員や一定以上の労働時間(正社員の労働時間の概ね4分の3以上)があるパート従業員やアルバイトが強制加入となり、事業主は加入を義務付けられています。

しかし、従業員と折半となる保険料の負担を逃れようと届出をしない企業があり、問題となっているのです。

特に、パート・アルバイトを多く使用している企業の場合は、ルール通りに加入させると保険料負担が過大なものとなり、企業経営を圧迫するという事情があります。

ただ、企業が厚生年金に未加入の場合、従業員は保険料が全額自己負担の国民年金に加入するほかなく、厚生年金と比べ将来もらえる年金額も減ってしまいます。

 

これまでの調査と何が違うの?

“国税庁が保有するデータを使って、未加入企業を割り出す”ということです。

これまで、厚生労働省は法人登記されている約449万社の中から未加入企業の調査をすすめていましたが、中には倒産していたり、休眠状態だったりする例も多くあることから、特定作業はスムーズにいきませんでした。

しかし、国税庁が保有するデータは「税金を納めている=実際に企業活動をしている」ということになり、特定作業が容易になるのです。

 

 

「労働災害のない職場づくり」に向けた緊急対策

増加する労災死亡事故

厚生労働省が「平成26年上半期の労働災害発生状況」を発表し、死亡者数が437人(対前年比71人、19.4%増)、休業4日以上の死傷者数が4万7,288人(同1,625人、3.6%増)となり、昨年から大幅に増加したことが明らかになりました。

同省では死亡者の大幅増加を受け、「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策」を実施するようです。

 

「緊急対策」の内容

緊急対策の柱としては、以下の2点となります。

(1)業界団体などに対する労災防止に向けた緊急要請

・産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検の要請

 …経済活動の一層の活発化が見込まれる中で労災の増加が懸念されることから、産業界全体(約250団体)に対し、

  企業の安全衛生活動の総点検と労使・関係者が一体となった労災防止活動の実施を要請。

・労災が増加傾向にある業種に対する具体的な取組みの要請 

 …特に労災が増加している業種(製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店)に対して

  は、労災防止のための具体的な取組内容を示し、その確実な実施を要請。

(2)都道府県労働局、労働基準監督署による指導の内容

都道府県労働局と労働基準監督署において、労働災害防止団体などと連携した安全パトロールを実施するほか、事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえた指導などを実施。

 

 労災発生状況のポイント

全産業における死亡者数(437人)を業種別に見ると、建設業(159人)、第三次産業(92人)、製造業(82人)、陸上貨物運送事業(55人)の順で災害が多発していたそうです。

建設業では、屋根、足場、はしご・脚立などからの「墜落・転落」と、建設機械などに「はさまれ・巻き込まれ」による死亡者が大幅に増加し、陸上貨物運送事業では、荷積み、荷下ろし時のトラックからの墜落をはじめとした「墜落・転落」の死傷災害が増加、第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店)では、転倒や無理な動作による腰痛などが増加していたようです。

これらの増加要因として、同省は「景気回復で企業活動が活発になる中、人手不足で現場に経験の浅い労働者が増え、事故につながっている」としています。

今後、対象の業種には、自主点検票の送付や研修会の開催などの取組みの強化がなされていくようです。

 

 

人手不足の影響? 変わりつつある転職の常識

転職成功者の平均年齢が過去最高に

株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、同社のサービスを利用したビジネスパーソン約7万人に対し、「転職をした年齢」について行った調査によると、2014年上期の転職成功者の平均年齢は31.7歳(前期比0.6歳増)で、調査を開始した2007年以来、過去最高を更新したとのことです。

また、転職成功者の年齢割合では、「35~40歳」(13.9%)、「40歳以上」(11.2%)がそれぞれ上昇傾向にあり、35歳以上の転職成功者の割合は初めて25%を超えたようです。

 

転職経験の多い人の成功者が増加

また、同社が2013年度に「DODA(デューダ)」を通じて転職をした人の転職回数を調べた調査結果によると、「初めて」の人が53.0%で最多となり、次いで「2回目」(24.3%)、「3回目」(12.7%)の順になったようです。

年齢別に転職した人の割合を見ると、34歳以下では、転職経験が「初めて」で転職に成功した人が最多となっていますが、35歳以上では、2007年から2012年までは「2回目」が最多となり、2013年には「4回以上」が最多となったようです。

30歳以上で「3回目」「4回目以上」の割合が大きく増加しており、かつての「転職回数が多いと不利」という転職の常識が変わりつつあるようです。

 

転職回数の多さ、年齢の高さは厭わない

上記の調査結果を受け同社は、転職市場の活性化に伴い、企業は必要な人材の確保に頭を痛めており、経験や実績が合致していれば転職回数を問わないというケースが多くなっている、としています。

また、業績の好調を受け、事業課題を解決できる人材を採用したいと考える企業では、即戦力として期待される35歳以上の採用ニーズが高まりを見せているようで、これまでは転職回数が多い人の採用を敬遠する企業もありましたが、転職回数が多くとも、その在籍企業で出した成果がわかれば、「変化に柔軟で環境が変わっても成果が出せる」「自社でも同様に成果をあげてくれるのでは」という期待に繋がり採用に至っている、としています。

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