HRインフォメーション(2019年8月)

賃金等請求権の消滅時効 見直しに向け審議始まる

7月1日に検討会報告書公表

厚生労働省の賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会は、7月1日、報告書を公表しました。

 

この報告書は、現在一律2年とされている賃金や年休に関する権利等について、改正民法において短期消滅時効に関する規定が整理されたことを受け、どのように見直すべきか方向性を示したものです。

改正民法で消滅時効はどう変わる?

改正民法施行後は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効消滅することとなります。

 

現行の労働基準法115条では、「賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」と規定されているため、改正民法に合わせた場合、未払い賃金訴訟や年休の繰越し等で企業実務に大きな影響を及ぼすため、改正民法とは別に、検討されてきました。

対象により異なる見直し案を提示

報告書は、賃金請求権について、「2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要」としています。

 

未払い賃金訴訟等で使用者に支払いが命じられる付加金についても、併せて検討することが適当、とされています。

 

さらに、労働者名簿や賃金台帳等、3年間の保存義務が課される記録の保存についても、併せて検討することが適当、とされています。

 

なお、年休については賃金と同様の取扱いを行う必要性がないとして、2年を維持する案が示されています。

2020年4月から改正される可能性も?

見直しの時期については、改正民法が2020年4月1日から施行されるのを念頭に置いて速やかに労働政策審議会で検討すべきとされており、今秋から議論が始まります。既に経過措置に関する案も2つ示されており、今後の動向が注目されます。

 

今春から施行された改正労働基準法により労働時間管理の厳格化が求められているところですが、賃金等請求権の消滅時効が改正されれば、万が一未払い賃金が生じたときに重大な影響があるため、自社で適切な管理がなされているかを改めてチェックし、不安な点があれば専門家に相談する必要があるでしょう。

 

外国人労働者と労働災害

増加する外国人労働者

日本で働く外国人の数は約146万人(2018年10月末時点、厚労省)で、日本人の総労働人口が約6,898万人(2019年5月時点、厚労省)であることから、日本で働く48人に1人が外国人という計算になります。

 

その外国人の割合は年々増加し、それに伴って外国人の労働災害も7年連続で増え続け、2018年には2,847人と過去最高を記録しました。

外国人労働者と労災保険

労災保険は国籍を問わず、日本で働く労働者に適用されます。

 

就労資格を持った外国人はもちろん、アルバイトをしている留学生も、就労中に事故にあった場合に適用されます。

 

また、不法就労であっても適用されます。

 

労災保険未加入で労働者が給付金を申請した場合、重大な過失であれば40%、故意であれば100%雇用主に請求されます。

 

外国人労働者が受けられる給付の内容

基本的には、日本人が受けられる給付内容と同じですが、給付中に本国に帰国してしまった場合に注意が必要です。

 

日本国内に限られる主な支援制度としては、アフターケア、義肢等舗装用具の支給(車椅子など支給可能な場合もあり)、外科後処置、労災就学等援護費(日本国内の学校に通っている場合)があげられます。

 

日本以外から保険給付額を請求する場合の支給額は、支給決定日における外国為替換算率(売りルート)で換算した邦貨額となります。

 

また、海外で治療を受けた場合、治療の内容が妥当なものと認められれば、治療に要した費用が支給されます。

 

【厚生労働省:労災保険給付のためのガイドブック~日本で働く外国人向け】​

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/161108-21.pdf

労働災害が発生してしまったら

労働災害等により労働者が死亡または休業した場合には、遅滞なく、「労働者私傷病報告」を労働基準監督署長に提出する必要があります。

 

報告しない場合や虚偽の報告をした場合には、刑事責任が問われることがあります。

外国人労働者向け安全衛生教育

厚労省は、日本の労働慣行や日本語に習熟していない外国人向けに、中小規模の企業が外国人を雇い入れる時や作業の内容を変更する時等に役立つ安全衛生教育マニュアルを、業種別、外国語別で作成しています。

 

ぜひ活用しましょう。

【厚生労働省:未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html

 

入管法の改正により新在留資格が創設され、今後外国人労働者はますます増加することが予想されます。

 

企業には労働災害が起きない環境づくりが一層求められるでしょう。

令和2年1月から労働社会保険の届出がワンストップで可能に

届出の契機が同じものは1回で

労働社会保険手続のルールが変わります。

 

健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の適用事務に係る事業主の事務負担の軽減および利便性の向上のため、健康保険法等に基づく手続きのうち届出契機が同一のものを一つづりとした届出様式(「統一様式」)を設け、統一様式を用いる場合はワンストップでの届出が可能となります。

現在、令和2年1月1日の施行に向けて省令の整備が進められています。

 

改正の内容

次の①~④に掲げる届書については、届出契機がそれぞれ同一であることから、同一の契機で届出を要する届書の届出先を経由して届出できるものとされます。

  • 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「新規適用届」、雇用保険法に基づく「適用事業所設置届」並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく「労働保険関係成立届」

  • 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「適用事業所廃止届」並びに雇用保険法に基づく「適用事業所全喪届」

  • 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格取得届」並びに雇用保険法に基づく「資格取得届」

  • 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格喪失届」並びに雇用保険法に基づく「資格喪失届」

 

「労働保険関係成立届」に関する改正省令案を諮問

上記の届出のうち「労働保険関係成立届」に関する改正省令案が去る6月、労働政策審議会に諮問されました。

その内容は、徴収法第4条の2に規定する労働保険関係成立届について、対象事業(※)の事業主が、健康保険法および厚生年金保険法上の「新規適用届」または雇用保険法上の「適用事業所設置届」に併せて提出する場合においては、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して提出することができるものとする、というものです。

※本省令改正により、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して届け出ることができる事業は、一元適用の継続事業(個別)とされます。

この場合において、事業主が提出する概算保険料申告書についても同様に、年金事務所、労働基準監督署長または公共職業安定所長を経由して提出することができるものとされます。

なお、今回省令案が公表されたのは保険関係成立届のみでしたが、これ以外の適用事業所の設置・廃止の届出、被保険者資格の資格・喪失の届出についても来年1月の施行に向けて順次公表されると思われます。

 

効率化の波に乗り遅れないようにしたいですね。

 


「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

  ~ハラスメント相談が最多に

総合労働相談件数は11年連続で100万件超え

厚生労働省が「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しています。

 

「個別労働紛争解決制度」には「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法がありますが、総合労働相談件数、助言・指導申出の件数、あっせん申請の件数いずれも前年度より増加しており、総合労働相談件数は11年連続で100万件を超えています(うち民事上の個別労働紛争相談件数は26万6,535件)。

 

「いじめ・嫌がらせ」が過去最高

相談内容としては、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数のすべてにおいて、「いじめ・嫌がらせ」が過去最高となっており、それぞれ以下の通りになっています。

・民事上の個別労働紛争の相談件数 82,797件(前年度比14.9%増)

・助言・指導の申出 2,599件(同15.6%増)

・あっせんの申請 1,808件(同18.2%増)

なお、民事上の個別労働紛争相談件数においては、「いじめ・嫌がらせ」に次いで「自己都合退職」が41,258件となっており、近年増加傾向にあります。

ハラスメント規制の動き

ハラスメント相談は年々増加していることから、対策が急務とされてきました。

 

本年5月には「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正されて、職場のパワーハラスメントに関する規定が設けられ、企業への防止対策の義務付けが盛り込まれました。

 

ハラスメント問題については、6月に国際労働機関(ILO)の総会で、職場でのハラスメントを全面的に禁止する条約が採択され注目されています。

 

日本政府は批准には慎重な見方を示していますが、国内でも、本改正では盛り込まれていないハラスメント行為自体を禁止する規定の必要性などを訴える声もあるようです。

今後もハラスメント規制に関する動きを注視しつつ、企業としても対応を検討したいところです。

 

学生アルバイトがすぐに辞めない職場とは~マイナビ調査から

意外に長い?学生アルバイトの勤務期間

人手不足の昨今、せっかく採用したアルバイトがすぐに辞めてしまう、というのは企業にとって痛手です。

 

とくに、学生アルバイトは長続きしない、というイメージを持つ企業担当者も多いのではないでしょうか。

 

そこで、実際はどうなのか、株式会社マイナビが大学生に意識調査を実施しました。

 

「これまでのアルバイトの中で、一番長く続いた勤務期間は?」という問いに対し、「25カ月以上」と答えた人が最も多く、次いで10~12カ月、24カ月という回答が続きました。全体の平均としては、20か月でした。

 

さらに、4年生に結果を絞ると、平均30か月になり、大学生活のほとんどの期間で同じアルバイトを続ける人が多いということがわかります。

 

重視されるポイントは?

では、学生がアルバイトを探す際に見るポイント、そして長く働き続けたいと思うポイントはどのようなものでしょう。

 

学生が「アルバイトを決める際に重視している点」を尋ねた結果、以下に重点を置いていることがわかりました。

・シフト・時間の融通がきくこと(54%)

・自宅から近いこと(50.9%)

・人間関係がよい職場であること(49.9%)

・時給が高いこと(49%)

もっとも重視する学生が多いのは、シフト・時間の融通のききやすさです。

 

また、職場の雰囲気も重視されています。

 

具体的には、人間関係がよい、楽しく仕事ができる、相談しやすい上司がいるなどです。

 

彼らの希望に柔軟に対応し、働きやすいと感じてもらうことがポイントです。

 

職場環境を整えることで生み出される好循環

継続勤務期間の調査結果から、学生アルバイトは、満足した環境であれば継続して働くということがわかりました。

 

そして、彼ら自身は、自分が長期的にアルバイトするために必要な条件をしっかり認識しており、それが満たされる職場を選択しています。

 

採用活動や新人指導には、時間もコストがかかります。

 

アルバイトの募集に反応がない、採用しても定着しないという場合は、彼らが求める職場の条件に合致しないと判断されている可能性があります。

 

学生アルバイトが求めている条件を知り、対応することで、彼らが長く勤められる環境が作れます。

 

また、それをアピールすることで、おのずと人の集まりやすい職場になっていくでしょう。

 

職場環境を整え、人材確保のための好循環を作りましょう。

【マイナビ:大学生のアルバイト実態調査】

https://www.mynavi.jp/news/2019/04/post_19843.html

 

副業制度をどうしますか?

骨太方針にも明記された副業・兼業の促進

政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針)にも、副業・兼業の促進に関して、労働時間の把握・通算に関する現行制度の適切な見直しについて明記されています。

 

副業・兼業が珍しいものでなくなる時代が、すぐそこまで来ているようです。

いくつかの調査結果から、企業側・従業員側の現状・意向が垣間見られます。

 

従業員側の現状・意向

2019年度の新入社員は、会社に副業制度があった場合、64.0%が利用したいまたはどちらかといえば利用したいと考えているようです(産業能率大学総合研究所「2019年度新入社員の会社生活調査」)。

また、有職者の58.1%が、副業をしている・したいとの調査結果もあります(インテージリサーチ「副業に関する意識調査」)。

 

なお、この調査はアンケートモニターやネットオークション等のどちらかというと軽い副業も含まれているようです。

 

具体的に副業や副収入を得ることを意識した活動を実際にしている人が約19%、今後してみたいと思っている人が約40%ですので、まだそれほど実際に副業をしている人は少ないようです。

 

企業側の現状・意向

一方、副業制度の導入状況は、約8割の企業が未導入だとしています。

 

制度のある企業でも利用率が50%以下となっている企業が9割を占めるようです(産業能率大学「2019年中小企業の経営施策」)。

 

現状では、人材不足で本業で手一杯というところでしょうか。

また、別の調査(パーソル総合研究所「副業実態・意識調査結果(企業編)」)では、副業を認めている企業(条件付きを含む)も、全面禁止としている企業もそれぞれ50%となっています。

 

副業を許可している企業でも、ここ3年以内に許可を開始した企業が52%となっており、副業許可の動きが増加傾向にあることがわかります。

さらに、副業を全面許可した企業では、条件付きでの許可よりも会社へのロイヤリティ、本業のパフォーマンスが高まることがわかり、メリットは大きいとしています。

そうしたメリットは、会社による副業時間の把握、副業のやり方等についてのアドバイス、社内ツールを使用した全社への共有を行うことで効果が高まるという結果が出ており、従業員任せではなく、企業が積極的に対策を行い、副業をバックアップすることが重要なようです。

 

注意すべきは熱中症だけじゃない!

 夏季は「感電災害」にもご用心!

夏に多い労働災害「感電災害」

夏の労働災害といえば、すぐに「熱中症」が思い浮かぶでしょう。

 

しかし、これと並んで、「感電災害」も夏場に集中して発生することはご存じですか?

夏季の感電災害は、暑さから絶縁用保護具の使用を怠りがちになること、軽装により直接皮膚を露出することが多いこと、作業時における注意力が低下しがちであること、さらにこれらに加えて、発汗により皮膚自身の電気抵抗や皮膚と充電物との接触抵抗が減少すること等が要因になって多発する傾向があります。

 

建設業・製造業に多く発生する災害ではありますが、その他の業種においても発生することがあり、注意が必要です。

 

今年は感電災害が発生しやすい!?

今年は、平年に比べて晴れの日は少ないといわれていますが、気温はほぼ平年並みの見込みであり、晴れれば猛烈な暑さとなる日、曇り・雨なら蒸し暑い日が続くとされています。

 

感電災害が発生しやすい状況であるといえるでしょう。

 

感電災害を防ぐために

感電災害を防止するための対策がきちんととられているか、本格的に暑くなる前に、事業場を改めて確認してみましょう。

□作業場内のケーブルや電線の被膜は破れていませんか?

□電気機器の設置は確実に行われていますか?

□漏電の可能性がある器具等には、漏電遮断器が設置されていますか?

□電気工事等作業を行う際の絶縁保護具の着用が徹底されていますか?

□工事・点検を行う際には、無電圧の確認を行っていますか?

 

また、感電防止策の前提として、安全に電気を使用するための意識を高めることも大切です。従業員向けの研修を行うとともに、電気機器や配線に対する日常の点検・保守管理を安全衛生委員会等の取組事項とすることも考えられます。

 

改正貨物自動車運送事業法で荷主に求められることとは?

貨物自動車運送事業法が改正され、この7月から、トラックドライバーの働き方改革を進め、コンプライアンスが確保できるよう、荷主に対する国土交通大臣による働きかけ等の規定が設けられました。

 

改正法で荷主(着荷主や元請事業者も含まれます)にはどのような事項が求められるかについて紹介します。

荷主の配慮義務を新設!

荷主は、トラック運送事業者が法令を遵守して事業を遂行できるよう、必要な配慮をしなければならないこととする責務規定が設けられました。

 

荷主への勧告制度が拡充!

荷主勧告制度の対象に、貨物軽自動車運送事業者が追加されました。

 

また、荷主に対して勧告を行った場合には、その旨を公表することが法律に明記されました。

※荷主勧告制度とは、実運送事業者が行政処分等を受ける場合に、当該処分等に係る違反行為が主に荷主の行為に起因するものであると認められる場合に、当該荷主に対して、再発防止のための勧告を行うもの

 

違反原因行為をしている疑いがある荷主に対して、国土交通大臣による働きかけ、要請、勧告・公表も!

国土交通大臣は、トラック運送事業者の法令違反の原因となるおそれのある行為をしている疑いのある荷主に対して、関係省庁と連携して、トラック運送事業者のコンプライアンス確保には荷主の配慮が重要であることについて理解を求める「働きかけ」を行うとしています。

法令違反となりうる行為としては、例えば、①荷主の都合による長時間の荷待ち時間が恒常的に発生していたり(過労運転防止義務違反を招くおそれ)、②適切な運行では間に合わない到着時間を指定したり(最高速度違反をまねくおそれ)、積込み直前に貨物量を増やすよう指示したり(過積載運行をまねくおそれ)することなどです。

荷主が違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由がある場合等には、「要請」を行い、要請してもなお改善されない場合、「勧告・公表」を行うとしています。

また、トラック運送事業者に対する荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合には、「公正取引委員会に通知」するとしています。いずれも令和5年度末までの時限措置ではありますが、厳しい措置内容となっています。

 

改正の背景は?

トラック運送事業ではドライバー不足が深刻化しており、日々の生活や産業活動を支える物流機能が滞ることのないようにするためには、ドライバーの長時間労働の是正等の働き方改革を進め、コンプライアンスが確保できるようにする必要があります。

そのためには、荷主や配送先の都合による長時間の荷待ち時間や、ドライバーが労働時間のルールを遵守できないような運送の依頼等を発生させないことが重要であり、荷主の理解と協力が必要不可欠となることから、今回の改正に至りました。

 

2020年4月施行! 改正障害者雇用促進法の概要

今年の通常国会において、改正障害者雇用促進法が可決、成立しました(一部を除き、2020年4月1日施行)。

 

改正法では、中央省庁や地方自治体の障害者雇用水増し問題に対応した再発防止策や、民間企業における短時間労働(週20時間未満)の障害者への雇用機会の確保、中小企業における障害者雇用の促進が盛り込まれました。

 

改正の主な内容は以下のようになっています。

 

中央省庁、地方自治体への措置

今回の改正では、昨年、中央省庁や地方自治体で起きた障害者雇用水増し問題を受けて、厚生労働省が「障害者活躍推進計画作成指針」を定め、各省庁や地方自治体はその指針に即して、障害者活躍推進計画を作成・公表を義務付けることになりました。

 

また、障害者を解雇する場合にはハローワークへの届出が義務化されることになりました。

さらに、障害者の雇用状況を明確に把握するために、民間企業と同様に障害者手帳の写し等の確認書類の保存の義務化、雇い入れる際の障害者の確認方法の明確化などが盛り込まれました。

 

企業に関連する改正内容は?

民間企業を対象とした改正として、現行の法定雇用率に算入できない短時間労働(週10~20時間)の障害者を雇用する企業に特例給付金を支給する仕組みが創設されることが盛り込まれました。

 

また、障害者雇用に関する取組みが優良な中小企業に認定制度が新たに設けられることになります。

現在の障害者雇用制度では、従業員を45.5人以上雇用している企業は障害者を1人以上雇用する義務が定められているにもかかわらず、まったく雇用していない企業(障害者ゼロ企業)が多いなど、障害者雇用への取組みが停滞していることへの打開策として期待されています。

これらの改正に関する具体的な要件や評価項目については、来年の4月の施行までに検討され、明らかになる予定です。

 

これからの障害者雇用の促進や職場環境の整備を進めるにあたり、動向に注目する必要があるでしょう。

 

大企業の働き方改革の影響による中小企業への「しわ寄せ」対策

働き方改革と「しわ寄せ」

6月26日、厚生労働省は、中小企業庁・公正取引委員会とともに『大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』(以下「しわ寄せ対策」といいます)を策定したと公表しました。

働き方改革関連法が今年4月に施行され、大企業における働き方改革(時間外労働の上限規制等)は一定の成果を上げています。

 

その一方で懸念されているのが、“大企業の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのコスト負担を伴わない短納期発注等の下請法等違反”(以下「しわ寄せ」といいます)です。

 

「しわ寄せ」具体例

「しわ寄せ」の具体例として、厚労省資料では下記のような事例を挙げています。

・買いたたき(例:短納期発注により、休日対応を余儀なくされ、人件コストが増大したにもかかわらず、通常の単価とされた)

・受領拒否(例:受注後、一方的に納期を短く変更されたため、やむを得ず長時間勤務により対応したものの納期に間に合わず、納入遅れを理由に受領を拒否された)

・不当な経済上の利益要請(例:商品発注に関するデータのシステム入力という発注者側の業務を、無償で代行するよう強いられた)

「しわ寄せ対策」の4本柱

下記①~④を柱に、中小企業に時間外労働の上限規制が適用される令和2年4月までに具体的な取組みをするとされています。

① 関係法令等の周知広報(労働局・労基署がリーフレット等を活用して周知、ほか)

② 労働局・労基署等の窓口等における「しわ寄せ」情報の提供(寄せられた「しわ寄せ」の相談情報を地方経産局に提供)

③ 労働局・労基署による「しわ寄せ」防止に向けた要請等・通報(下請事業者に対する監督指導において、労働基準関係法令違反が認められ、その背景に「しわ寄せ」が疑われる場合、公取委・中企庁に通報、ほか)

④ 公取委・中企庁による指導及び不当な行為事例の周知・広報(「しわ寄せ」について、公取委・中企庁が、下請法等に基づき厳正対応、ほか)

そもそも「しわ寄せ」は下請法や独占禁止法等に違反する行為ですが、今後はより厳しい目で見られます。自社が「しわ寄せ」を強いていないか、また、他社から強いられてはいないか、注視していきましょう。

【厚生労働省:大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』を策定しました】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05446.html

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