2023年6月26日、厚生労働省は「令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況を公表します」と題したニュースリリースを発表した。このリリースのサブタイトルは「日本年金機構発足後初めて国民年金第1号被保険者の最終納付率80%超を達成」とあり、この発表を受け「国民年金の保険料、納付率8割に到達 11年連続上昇」(日本経済新聞)、「国民年金の最終納付率、初の80%超え…コンビニ納付・アプリ決済などデジタル化が奏功」(読売新聞)などの報道が行われている。
恐らく、このような記事を見た多くの国民は、「国民年金の保険料は8割が納められ、残り2割は納められていない」と思うだろう。しかしながら、果たして本当にそうだろうか。
今回発表されたニュースリリースによると、国民年金保険料の納付義務がある人のうち606万人は経済的な理由などからにより、納付が免除・猶予されているそうである。この数は納付義務を課されている人の実に4割以上にものぼる。つまり、そもそも国民年金保険料は、4割以上の人が通常どおり納めなくてよいことになっているのである。
それにもかかわらず、「国民年金の保険料は8割が納められ、残り2割は納められていない」はずがない。ここには年金統計特有のカラクリが隠されている。
ところが、厚生労働省の報道発表を正しく分析し、国民に誤解を招かないように報じているメディアは稀有である。
国民年金保険料の納付率の統計に関するカラクリについては、昨年、以下のサイトで解説記事を掲載している。数値は1年前のものだが、統計発表の仕組みは同じなので、ぜひ参考にしていただきたい。
《参考》
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