社会保険手続きの電子申請に使える「GビズID」とは

                       大須賀信敬(組織人事コンサルタント)


2020年4月から、社会保険分野でGビズIDを用いた電子申請が可能となり、早いもので1年を経過した。そこで今回は、GビズIDの仕組みやメリット、利用方法などを整理してみよう。



e-GovとGビズIDの2つの電子申請

現在、健康保険・厚生年金保険等の社会保険手続きには、紙媒体申請、電子媒体申請、電子申請の3種類の手法が用意されている。


このうち電子申請は、2020年3月までは電子証明書を取得し、e-Gov(各府省の電子申請を一元的に受け付ける行政ポータルサイト)を利用して申請することになっていた。


ところが、同年4月からはe-Govによる電子申請に加え、GビズIDを利用した電子申請も可能になったものである。GビズIDとは、経済産業省が運用する「事業者向け行政手続きの共通認証サービス」で、法人共通認証基盤ともいわれる仕組みである。


GビズIDなら電子証明書が不要

GビズIDには、電子申請の利用を容易にするメリットが2つ用意されている。1番目は、1つのIDとパスワードで複数の行政システムにログインできる点である。


通常、電子申請による行政手続きでは、行政機関ごとに異なるIDとパスワードが発行されるため、ID・パスワードの管理が煩雑であった。しかしながら、GビズIDを利用することで、面倒なID・パスワード管理が発生しないことになる。


2番目は、電子証明書を取得しなくても電子申請が可能な点である。


元来、電子申請では有料の電子証明書を用意する必要があり、費用が掛かる点がネックとされていた。しかしながら、GビズIDであればアカウントの取得は無料ででき、申請の際にも電子証明書が不要なため、コストが掛からないものである。


アカウントはエントリー、プライム、メンバーの3種

GビズIDにはgBizIDエントリー、gBizIDプライム、gBizIDメンバーという3種類のアカウントが用意されており、行政機関によって使用可能なアカウントが異なる。社会保険手続きの場合には、事業主本人が申請するケースでは原則としてgBizIDプライムのアカウントを使用するが、一定の条件に該当した場合にはgBizIDメンバーを用いることもある。


gBizIDプライムのアカウントの取得には審査があるため、ID・パスワードが発行されるまで通常、申請から2週間ほど待たなければならない。ただし、gBizIDメンバーのアカウントは、gBizIDプライムの発行を受けた事業主がGビズIDのマイページを使用し、すぐに発行可能である。


なお、GビズIDで社会保険手続きを行う際には、専用の届書データを作成する必要がある。この点については、日本年金機構がGビズIDに対応した届書作成プログラムを用意しており、同機構のホームページから無償でダウンロードして利用できるものである。


基本的な手続きはGビズIDで可能に

GビズIDで申請可能な社会保険手続きは、当初は利用頻度の高い11種類に限定されていた。しかしながら、2020年11月下旬以降はe-GovでもGビズIDが利用できるようになり、現在では電子証明書が不要な社会保険手続きがかなり拡充されている。


新型コロナウイルス感染症に伴うテレワークの普及で、電子申請ニーズは高まりを見せている。これを機に、GビズIDによる電子申請を検討してはどうだろうか。


【参考】

日本年金機構ホームページ:電子申請(GビズID)

GビズIDホームページ:gBizIDへようこそ