緊急時に備えて事業継続計画(BCP)策定を

「緊急時に備えて事業継続計画(BCP)策定を」をはじめ、計5本のHR関係情報をお届けします。


緊急時に備え、事業継続計画(BCP)策定を


新型コロナウイルス感染症の流行により、企業活動に多大な影響が出ています。そのようなとき役立つのが、事業継続計画(Business Continuity Plan。以下、BCP)です。


BCPとは企業が自然災害、大火災、テロ攻撃、感染症の蔓延などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限にとどめつつ、事業の継続・早期復旧を可能とするため、緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことをいいます。また、策定したBCPを円滑に運用・管理することを、事業継続マネジメント(BCM)と呼びます。

日本では、毎年多くの自然災害が発生しています。しかし、中小企業のほとんどがBCPを策定していません。必要であるという認識はあるものの、通常業務に比べ優先度が低く、策定に至っていない企業が多いと考えられます。

また、策定にかかる時間や、リスク分散のために必要となる費用等を負担に感じるということもあるようです。とはいえ、策定していない場合に被る損失を考えると、策定のメリットは大きいでしょう。


中小企業庁では中小企業へのBCPの普及促進のため、有識者の意見を踏まえた指針を作成しています。指針によると、初めて策定する際は、以下の手順で進めるとされています。

  1. 基本方針の立案(目的の整理)​

  2. 重要商品の検討(中核事業の選定)​

  3. 被害状況の確認(予測される影響の整理)​

  4. 事前対策の実施(非常時に備えて今できること)​

  5. 緊急時の体制の整備(対応策と責任者の決定)

最初から完全な計画を目指す必要はありません。まずは実現可能なものから始め、緊急事態への対応力を鍛えていくことが重要です。

また、BCPは策定して終わりではありません。従業員への教育と、会社の現状を踏まえた見直しが必要です。いざというときに事業を継続するにはどうすればいいか、自社の実態に合ったBCPを考えておきましょう。

<参 考>

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」

技能継承がうまくいっている

             /いっていない企業の特徴


(独)労働政策研究・研修機構の調査によると、ものづくり産業では約8割の企業で将来の技能継承について不安を抱えているといいます。また、大多数の企業では技能継承を重要と認識するものの、うまくいっている企業は半数弱との結果も出ています。

そうした中でも人材の定着がよく、近年の採用がうまくいっている企業は、技能継承もうまくいっていると認識しているようです。このような企業の特徴としては、若手中心か各世代均等の年齢構成で、先を見越した育成方針があり、その方針が社内に浸透している企業ほど技能継承はうまくいっているとの調査結果が出ています。

数年先の事業展開を考慮して、その時必要となる人材を想定しながら能力開発を行っており、そうした方針が明確になっている企業ほど、若手人材も採用できるということでしょう。

一方、技能継承がうまくいっていない、あるいは不安を抱えている企業の特徴は次のようなものです。​

  • 採用がうまくいっていない​

  • ベテラン中心である。中堅不足である

  • 技能者育成がうまくいっていない

  • 人材育成・能力開発の方針がない、浸透していない


人手不足が深刻な他業種(例えば運送業)でも、スマホ向けのホームページを作ったり、賃金制度を明確にする、業種の特性に合わせた採用方法にするなどして若手採用の増加に成功した事例があるようです。ものづくり産業では、最終製品を生産して自社ブランドで販売する企業もあり、若手にアピールする手段として使えそうです。

部品を提供するのが主だという企業でも、技術力のブランド化などを行い、自社の魅力をアップすることはできるでしょう。新型コロナウイルスの影響により、製造業の国内回帰という流れもありそうですので、いま一度、自社の採用について深く考えてみてはいかがでしょうか。

<参 考>

労働政策研究・研修機構「ものづくり産業における技能継承の現状と課題に関する調査結果」

書類送検された事例も!

  「転倒災害防止」について改めて考えてみましょう


三重県津市のテーマパークの建設現場で安全対策を怠ったとして、津労働基準監督署は、2019年12月10日、労働安全衛生法23条(事業者の講ずべき措置)違反の疑いで、建設業者と同社の現場監督の男性を書類送検しました。

工事現場通路の仮設門に強風対策で取り付けるワイヤーを地面から約5センチ浮いた状態で設置し、作業員が転倒するおそれがあったにもかかわらず、通行を禁止するなどの防止措置を講じなかったため、作業に当たっていた70代の男性がワイヤーにひっかかって転倒し、頸椎損傷の重傷を負ったといいます。

転倒防止措置の不実施での送検はめずらしいですが、いつ同様の送検事案が生じても不思議はありません。そもそも、転倒災害は休業4日以上の死傷災害で最も件数の多い災害で、例年、全労働災害の約20%を占めています。

加齢により身体強度や運動機能が低下する高年齢労働者の増加に伴って、目立って死傷者数が増加している災害でもあります。転倒が重大な事故につながることのないよう、各職場で転倒防止措置を講じ、対策を徹底することが必要です。

このような状況を踏まえ、厚生労働省と労働災害防止団体は、転倒災害を減少させるため、「STOP! 転倒災害プロジェクト」を推進しています。次のような観点から転倒防止措置を講じることが推奨されていますので、これを参考に改めて職場の状況、作業の仕方を見直してみましょう。

  • 設備管理面の対策

      歩行場所に物を放置しない/床面の汚れ(水・油・粉等)を取り除く/床面の

      凸凹、段差等の解消

  • 転倒しにくい作業方法

     時間に余裕を持って行動/滑りやすい場所では小さな歩幅で歩行/足元が見えに

     くい状態で作業しない

  • その他の対策

     作業に適した靴の着用/職場の危険マップの作成による危険情報の共有/転倒危

     険場所にステッカー等で注意喚起/体操による筋力維持・アップ

求人不受理の対象が追加されます!


原則として、ハローワークや職業紹介事業者は、すべての求人を受理しなければなりませんが、

  1. 内容が法令に違反する求人

  2. 労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当な求人

  3. 求人者が労働条件を明示しない求人

のいずれかに該当する求人については、例外的に受理しないことができます。

さらに今回、改正(今月3月30日から施行)によって、

  • 一定の労働関係法令違反の求人者による求人

  • 暴力団員、法人で役員の中に暴力団員がいる者、暴力団員がその事業活動を支配する者による求人

についても受理しないことが可能になりました。


職業紹介事業者は、求人者に対して自己申告を求めることができます。ちなみに、「私どもは、この求人申込みの時点において、職業安定法に規定する求人不受理の対象に該当いたしません」と記載された自己申告書が厚生労働省から出されており、事業所名・所在地・代表者名、チェックシートへの記入が求められます。求人者が自己申告を行わなかった場合にも、求人を受理しないことができます。

また、求人者が事実に相違する自己申告を行った場合、都道府県労働局が勧告・公表などを行うことができます。


さらに、①労働基準法および最低賃金法に関する規定で、1年間に2回以上、同一の対象条項違反により是正指導を受けた場合や、②職業安定法、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法に関する規定で、対象条項に違反し、法違反の是正を求める勧告に従わず、公表された場合には、法違反の是正後6カ月経過するまで不受理となります。

就職氷河期世代に限定した求人が

            ハローワーク以外でも可能に


厚生労働省は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令を改正し、2023(令和5)年3月31日までの3年間、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)の安定した雇用を促進するため、年齢層を制限した求人を可能とすることとしました。

また、この改正で同省は、これまで企業が就職氷河期世代に限定した求人を出すことをハローワークにのみ認めていましたが、ハローワークに同様の求人を出すことで、ホームページでの直接募集や求人広告、民間職業紹介事業者への求人申込みなど、さまざまな方法で併用することが可能となりました。

ただし、就職氷河期世代に限定した求人を出す場合には、ハローワークへの求人申込みに加え、以下のいずれにもあてはまる人を雇用するという要件を満たす必要があります。

  1. 35歳以上55歳未満で、安定した職業に就いていない方​

  2. 期限を決めない労働契約を締結することを目的とすること

  3. 職業に就いた経験があることを求人の条件にしない場合に限る

1の「不安定な職業に就いていない方」とは、雇入れ日前1年間に正社員として雇用されていない者、かつ、雇入れ日前直近5年間に正社員としての雇用期間が通算1年以下の者や、概ね1年以上、臨時的・短期的な就業を繰り返す、あるいは臨時的・短期的な就業と失業状態を繰り返すなど不安定就労の期間が長い者、非正規雇用の就業経験が多い、あるいは就職後の就労期間が短い者など、安定した就労の経験が乏しい者(正規雇用の在職求職者は除く)であることをいいます。

2については、1の方に安定した雇用を促進することを目的としているためです。3については、就職氷河期世代で無業の方の募集・採用のため、職業経験の有無を条件とすることは適当ではありません。従って、「○○の経験者募集(優遇)」「○○の経験を有する者」といった求人条件を定めることはできません。

これらの要件を満たす求人であれば、応募資格を「年齢不問」とした上で、例えば、「就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった方歓迎」などと併記することが可能となっています。

また、政府が進める「就職氷河期世代支援プログラム」の施策の1つとして、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用コース)が新設されました。この助成金は、特定求職者雇用開発助成金(安定雇用コース)を拡充したもので、対象労働者の支給要件が緩和されました。中小企業の場合1人当たり60万円が支給されます。

詳細については、以下をご確認ください。

<参 考>

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」

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