新入社員に「読書の習慣」を身に付けさせる法

                       大須賀信敬(組織人事コンサルタント)


社会人になったらビジネス書を継続的に読みたいものである。ところが、これが簡単ではない。それではどうすれば新入社員に「読書の習慣」を身に付けさせられるのだろうか。



新入社員研修が「習慣化」の契機になる

新入社員に対する入社直後の研修では、通常「ビジネスマナー」「業務に必要な知識・技術」の教育などが行われる。しかしながら、新入社員に教育したい、もう一つの重要な項目がある。社会人としての『好ましい習慣』を身に付けるための教育である。


社会人の代表的な『好ましい習慣』と言えば「読書の習慣」といえよう。社会人になれば、最低でも月に1冊はビジネス書を読みたいものである。本を読んでいる社会人と本を読んでいない社会人とでは、仕事の質の差は歴然としている。より良い仕事をするためには、「読書の習慣」は必須条件といえるものである。


しかしながら、新入社員が自分自身の努力だけで「読書の習慣」を身に付けることは、決して容易ではない。読書は継続することが困難だからである。従って、新入社員に「読書の習慣」を身に付けさせたいのであれば、入社直後に実施する研修カリキュラムの中に、読書が「習慣化」できるようなメニューを組み込むのが効果的である。つまり、研修の段階から社会人としての『好ましい習慣』を実践させるわけである。


例えば、研修カリキュラムの中に「ビジネス書を読む」という課題を取り入れる方法がある。研修期間中に毎日、30分から1時間程度、ビジネス書を読む時間を設け、読み終えたら以下の点について小論文を記述させてみるのである。


① どのようなことが書かれている書籍か。

② 書籍に書かれていることのうち、「今後の自分にとって役に立つだろうと思われる事項」は何か。

③ ②で記述したことは、具体的には今後の自分にどのように役に立つと思われるのか。


記述した小論文は他の研修メンバーの前で発表をさせ、皆で書籍から得られる効用を共有しようというカリキュラムである。


入社1年目は『好ましい習慣』を身に付けるための時期

学生時代には全く本を読むことがなかった新入社員も、このようなカリキュラムを導入することにより読書が身近になり、本を読む行為が「習慣化」されやすくなるものである。また、この研修カリキュラムには「読む」「聞く」「考える」「話す」「書く」というスキルを鍛える効果が備わっているため、ビジネススキルを総合的に向上させるのにも有効な手法といえよう。


定期的にビジネス書を読むという行為は、社会人1年目で「習慣化」してしまえば、通常、その後は苦労せずに本を読み続けることが可能になる。これに対し、社会人になった直後に本を読む行為を「習慣化」できなかった場合は厄介である。入社から数年経過した後に「これからは定期的に本を読もう」と考えても、その時点から読書を「習慣化」することは困難だからである。


入社から数年の間、読書をしてこなかった社員には、プライベートな時間をダラダラと過ごす『好ましくない習慣』が身に付いているケースが散見されがちである。具体的には、仕事を終えて帰宅後はダラダラとテレビを見る、スマートホンをいじる、酒を飲むなどの行為が体に染み付いていることが少ないようである。そのような時間の過ごし方を数年間も続けた後では、いざ「本を読もう」と思い立ったとしても、体が言うことを聞かなくなっているものである。


入社1年目という時期には、社会人としての『好ましい習慣』を身に付けるという極めて大きな意義がある。『好ましい習慣』が身に付くかどうかで、新入社員のその後の職業人人生は大きく左右されてしまう。ぜひ、自社の新入社員に「読書の習慣」をはじめとする『好ましい習慣』を身に付けさせるための教育に取り組みたいものである。

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